ディスレクシアのための音声読み上げ:効果と使い方
· 9分で読めます · Leeloチーム
テキスト読み上げは、読むことのいちばん大変な部分、つまり文字を一つずつ音にしていく作業を肩代わりすることで、ディスレクシア(読み書き障害)のある人を助けます。そのぶん、本来の思考のレベルで文章を理解できるようになります。いちばん効果的なのは、音声を聞きながら文字を目で追う使い方を、聞き手が自分で選んだ速さで行うことです。これは内容にアクセスするための配慮であり、読みの指導の代わりになるものではありません。
このガイドでは、なぜ役に立つのか、どう設定すればうまくいくのか、先生や保護者が教材の音声版をどうつくるか、そして避けたい失敗を説明します。
なぜテキスト読み上げはディスレクシアに役立つのですか?
ディスレクシアは、単語を正確に、流暢に読むことと、綴りに主に影響する、特異的な学習の困難です。多くは言語の音の処理(音韻処理)の難しさに根ざしていて、知能とは関係がありません。話し言葉はとてもよく理解できる人が多く、つまずくのは、文字を言葉に変える段階です。
テキスト読み上げが助けになるのは、まさにそのすき間です。
- ちょうどいいレベルの内容に触れられます。 読み方が9歳レベルの13歳でも、13歳向けの歴史の教科書は、読み上げてもらえば内容を追えます。
- 疲れにくくなります。 文字を音にするには労力がいります。声がその一部を担ってくれれば、その力を理解に回せます。
- 語彙に触れられます。 英語の「photosynthesis」や「parliamentary」のような語が正しく発音されるのを、文字を見ながら聞くと、音と綴りが結びつきます。
- 自立できます。 指示や問題を大人に読んでもらうのを待たなくて済みます。
- 耳で校正できます。 自分の文章を読み上げてもらうと、目が読み飛ばしてしまう脱字、重複、同音異義語の取り違え(英語なら「there」と書くべきところを「their」と書くなど)に気づけます。
専門家は一般に、テキスト読み上げを全体像の一部と考えています。内容へのアクセスを支える一方で、土台となる力は体系的な読みの指導で育てる、という考え方です。両方を使いましょう。
ディスレクシアのある人は、テキスト読み上げをどう使えばいいですか?
聞くだけでなく、文字を追いながら聞く
聞くだけでも長い教材には役立ちますが、音声を聞きながら文字を追うと、書かれた言葉とその音の結びつきが強まります。できれば、再生中に文字を表示してくれるツールを使うか、文章を印刷して、音声を流しながら見てください。
速さを選び、そこから調整する
ナレーションの速さは、通常1分あたり約150語です。聞きながら読むときは、次のようにします。
- 新しい教材や難しい教材では、それより少しゆっくりから始めます。
- 声に慣れてきたら、少しずつ速くします。経験を積んだ人の中には、読むより速く聞けるようになる人もいます。
- 文章全体ではなく、定義、指示、試験問題など特定の箇所だけをゆっくりにします。
聞き手が気に入った声を選ぶ
ささいなことに聞こえますが、声が耳ざわりだと感じる人は、そのツールを使わなくなります。いくつか聞き比べて、聞き手本人に選んでもらいましょう。学習教材には、抑揚の豊かな声より、はっきりした声を一定のペースで聞かせるほうが向いていることが多いです。
声が読み間違える語を直す
教科の用語、名前、略語は読み間違えることがあり、間違った発音は間違った語を覚えさせてしまいます。新しい教材は一度確認し、学習者に渡す前に誤りを直しておきましょう。
どんなツールがありますか?
ここには2つの別の用途があり、向くツールも違います。
その場で何でも読み上げる
ほとんどのスマートフォン、タブレット、パソコン、ブラウザーには、読み上げ機能やスクリーンリーダーが内蔵されています。無料で、ウェブページ、メール、文書をその場で読むのに向いています。学習者は、使うすべての端末でそれをオンにする方法を知っておくとよいでしょう。
残しておける音声版をつくる
同じ教材を何度も使うなら(読書リスト、ワークシート、復習ガイド、保護者向けのお便りなど)、きちんとした音声版を一度つくる価値があります。正しい発音、心地よい声、適切な位置の間、そしてどの端末でも誰でも再生できるファイルです。
そこで役立つのがLeeloのようなスタジオです。短い文章なら、無料のテキスト読み上げツールで試せます。長い教材には、フル機能のテキスト読み上げスタジオをお使いください。
先生や保護者は、読み物の音声版をどうつくればいいですか?
手順
- すでに使っている文章から始めます。 貼り付けるか、文書を取り込みます。Studioは行ごとに作業するので、段落や問題をそれぞれ個別に調整できます。
- 教科または学年ごとに声を1つ決めます。 学習者は声に慣れていくので、統一しておくと助けになります。
- 読み方を直します。 名前、専門用語、略語を確認します。英語の教材なら、「Mg」は「magnesium」、「e.g.」は「for example」、「Ch. 3」は「chapter three」と読ませます。
- 間を入れ、大事な行はゆっくりにします。 各問題の前の間と、指示のゆっくりしたペースが大きな助けになります。演出のしかたをご覧ください。
- MP3で書き出します。 学習プラットフォームやメッセージアプリで、印刷した文章と一緒に共有します。
具体例:Year 8(中学1〜2年に相当)の理科ワークシート
水の循環についての500語のワークシートには、導入の段落、図の説明、5つの問題があります。
- 先生はワークシートを取り込み、問題を1つずつ別の行に分けます。
- 各問題のあとに2秒の間を入れて、生徒が音声を止めて答えられるようにします。
- 「condensation」の定義を少しゆっくりにします。
- 「precipitation」と「transpiration」がはっきり読まれているか確認します。
- MP3を1つ書き出し、ワークシートの横に掲載します。
標準の声では1語1クレジットなので、約500クレジットです。無料プランで一度だけ付与される1,000クレジットなら、このようなワークシートを2枚つくれて、生徒が使ってくれるかどうかを確かめるには十分です。Starterプラン(月額19ドル)には80,000クレジットが含まれ、1分あたり150語なら約9時間ぶんの音声になります。
講座まるごとの教材については、eラーニングのナレーションのガイドで、より長い制作を取り上げています。
ウェブで記事を公開する学校や出版社向け
ウェブサイトでお便り、記事、授業のページを公開しているなら、ページに音声プレーヤーを置くだけで、何もインストールせずにすべての読者が聞けるようになります。Leeloの埋め込みオーディオプレーヤーがそれにあたり、記事の活用例ページでは、出版社がどう使っているかをご覧いただけます。
テキスト読み上げは、読むことだけでなく書くことにも役立ちますか?
はい。2つの方法があります。
- 聞き返す。 下書きをテキスト読み上げツールに貼り付け、文字を追いながら聞きます。目が読み飛ばしてしまう誤りも、耳で聞くとはっきり分かります。「I went too the shop」「the the」、途中で終わってしまった文などです。
- 先に話す。 ディスレクシアのある人の多くは、考えを綴るよりずっと流暢に話せます。答えを説明する自分の声を録音し、音声の文字起こしツールで文字にします。その文字起こしを最終的な文章に編集し、聞き返して確認します。
試験はどうなりますか?
多くの試験制度では、必要な受験者に、人による代読やコンピューターによる読み上げなどの読み上げ支援を認めています。ルール、必要な証明書類、締め切りは、国や試験の実施団体によって異なるので、学校の試験担当者や特別支援教育コーディネーターに早めに相談してください。いちばんの準備は、ふだんの学習で同じ種類のツールを使い、試験当日も声や操作になじんでいることです。
ディスレクシアでテキスト読み上げを使うとき、よくある失敗は?
- いきなり速くしすぎる。 速く聞くことは、身につけるスキルです。聞き手が少しずつ慣れていくのを待ちましょう。
- 音声だけで、文字がない。 読むことを学ぶなら、言葉を学習者の目の前に置いておきます。
- 発音を一度も確認しない。 復習用の音声で重要用語が読み間違えられていると、間違ったまま覚えられてしまいます。
- 万能薬だと思う。 テキスト読み上げは内容へのアクセスを与えるもので、文字を音にする力を教えるものではありません。
- 特別な扱いにする。 クラス全員が聞くという選択肢を持てば、必要な生徒だけが目立つことはありません。
- ほかの言語を忘れる。 スペイン語やイタリア語のように綴りの規則性が高い言語では、ディスレクシアは誤読よりも読みの遅さとして表れることが多く、聞く支援はそこでも役立ちます。
よくある質問
テキスト読み上げは、ディスレクシアのある生徒に向いていますか?
はい、配慮の一つとして向いています。実際のレベルで教材を理解でき、疲れが減り、校正にも役立ちます。体系的な読みの指導の代わりではなく、それと並べて使うのがいちばん効果的です。
ディスレクシアのある人には、読み上げの速さをどれくらいにすればいいですか?
通常のナレーションの速さ、1分あたり約150語か、それより少し遅めから始めて、聞き手が調整できるようにします。時間とともに速くしていく人は大勢います。全体ではなく、指示と定義をゆっくりにしましょう。
文章を聞くことは「読む」ことになりますか?
内容を理解するという面では、聞くことで同じ考え、語彙、論旨に触れられます。ただし、文字を音にする練習にはならないので、読みの指導は引き続き必要です。聞きながら文字を追えば、両方を組み合わせられます。
学校のワークシートの音声版をつくれますか?
はい。文章を貼り付けるか取り込み、はっきりした声を選び、読み間違える用語を直し、問題のあとに間を入れて、MP3で書き出します。一般的なワークシートはLeeloで数百クレジットで、無料プランの1,000クレジットで試せます。
スクリーンリーダーとテキスト読み上げスタジオは、何が違いますか?
スクリーンリーダーや内蔵の読み上げ機能は、画面に表示されているものを、今すぐ、1人のために読み上げます。テキスト読み上げスタジオは、手直しして仕上げ、大勢に共有できる完成した音声ファイルをつくります。ほとんどの学習者は、両方があると助かります。

